1.デイサービスは退職が多く、採用が困難
(1)デイサービスの離職理由
デイサービスで働く人たちの多くは、介護を必要とする人のお役に立ちたい気持ちで就職しています。
それでも、仕事を辞めます。
全体での離職率はかなり高めで推移しています。
辞めたい理由は次のとおりです。
①仕事内容が合わない
デイサービスの特徴にレクレーションがあります。利用者の身体機能の向上、脳の活性化を目的に行われます。
このレクレーションが不向きであったり、苦手に感じる人が多く退職理由の一つです。
また、介護職として将来を考えて転職する人もいます。
②人間関係
これは、デイサービスだけでなく、どの職種においても同様です。
デイサービスの特徴として、パート、アルバイト、正社員のほか
看護師、生活相談員、介護職とことなる職種と一緒に働くので仕事の分担などで
不満、悩みも多くなります。
③給与面などの待遇
全産業と比較して、
きつい 長時間労働が恒常化、人間関係がよくない
汚い 排泄介助、おむつ交換など
危険 排泄物や嘔吐物、認知症高齢者からの暴力、介護による腰痛など
給料が安い サービス残業が多い、昇給、賞与、退職金がない
つぎに、 退職理由のうち給与面、特にサービス残業が多いを見ていきます。
(2)サービス残業が多い
①介護業以外の仕事が定時内にできない
・利用者の送迎もサービスの提供に含まれるので、事業所に戻ると
時間外となります。
・利用者の体調不良による対応や突発的な延長サービスの利用
・定期的に開催される会議、書類作成、翌日の準備など
②デイサービスの平均的な残業時間
事業規模により変わりますが、正社員で平均10時間です。
「残業」は、法定労働時間である8時間を超過したあとに、残って業務をおこなると捉えやすいですが、
実は「時間外労働」のことであり、法定労働時間を超過した業務業務を行うことです。
③残業と賃金の関係
残業をした場合には、時間外手当を支払わなければなりません。
一般的に時間外手当は「1時間当たりの労働単価×1.25です。
④残業が多いデイサービスの特徴
・求人の頻度が多い
日常的に人手不足の可能性が高い
・職場の雰囲気が暗い
採用面接、現場見学のとき、職場の雰囲気が暗く感じることです。
職場内において、挨拶を交わしていなかったり、笑顔が少なかったりする
事業所は、各個人の業務負担が多い傾向にあることが多くあります。
・送迎やミーティングが時間外に設定されている
就業時間と事業所の営業時間を確認すると、残業発生時間を想定できます。
2.それでは、経営者はどのような改善をすればよいでしょうか
(1)介護業界の働き方改革の取組は次の2つになります。
①長時間労働の是正
効果的な取組みは次のようなものがあります
・サービスの取捨選択
ライバルである同地域のデイサービスとの差別化です。
介護保険では「過剰」と評価されると介護保険の適用はありませんが、
保険適用外でも選ばれるサービスを考える。
「したい」と「できる」を明確にして経営理念、介護理念にそった
サービスを提供する。
これにより労働時間の削減が図れることでしょう。
・従業員の意識改革を行う
デイサービスで働く職員は、「利用者のために」という気持ちで働いている人が多いので、
「ゆっくり話を聞いてあげたい」「仕事を残すと利用者に迷惑をかける」という想いで
隠れ残業をする従業員が多い傾向にあります。
ただ、一緒に働いている社員、パート全員ではありません。
社員の気持ちに寄り添いながら、働き方改革の必要性時間をかけ伝えていきましょう。
長時間労働が実現したら、どうなるかを具体的に伝えていくことがよいでしょう。
・紙書類のデジタル化を検討する
これは厚生労働省も介護現場にICTの導入を促進しています。
介護人材確保・介護現場の革新におけるICT機器を導入することにより
想定される効果として、事業内(職員間)の情報共有が円滑になる、
職員1人当たり業務時間の短縮、負担が軽減するなっています。
具体的に検討する内容としては、
記録時間 → 記録業務 サービス提供記録・業務日誌、連絡帳を作成する時間
ICT機器、ソフトウェア導入により実績時間が短縮される
→報酬請求業務 介護報酬請求のための第7表へ記録業を記入、
転記する業務時間 ICT機器、ソフトウェア導入により実績時間が短縮される
②離職防止
離職防止に効果的な取組については、次のようなものかあります。
・腰痛予防に取組む
腰痛ベルトを配布し、介護側の負担の少ない介護技術の周知徹底を図る。
新しい介護技術の研修に参加する。
・メンタルヘルスケア
定期的な個人面談の中で、将来のビジョンや現場の課題を共有し、本音を引き出すことが重要です。
経営者として大切なこと
デイサービスは労働集約型の事業です。
働く社員、パートが事業所に不満があると利用者によいサービスは提供できません。
第一 社員、パートを大切にすることが経営者のすべきことです。
(採用が困難なので、在籍している社員を大切にしましょう)
これは、社員の未来像です。
第二 そのために、デイサービス、会社が未来にどうなっていくか、
事業の未来像を考えます。現状の延長の未来は明るくないのではないでしょうか。
第三 事業の未来を達成するために、組織の未来像が必要です。
そして、何よりも大切なことは
何のために、誰のためにという、使命感、経営理念です。
経営者の皆さまが、デイサービスを始めた理由を思い出してください。
・「使命感」は社会にどう貢献していきたいか
例;・利用者様がすみなれた自宅で自立した日常生活を送れるよう、また
介護者の負担を軽減に貢献します。
・利用者様が毎日楽しく生きがいをを提供し、心豊かな社会づくりに貢献します。
・「経営理念」社員全員でめざす志です。
例・社員の幸せを追求し、人間性を高める
・清潔で明るく、くつろげる空間の提供
・尊厳と、人生の主役であることを感じてもらえる職員の対応
・喜びを分かちあえる仲間づくり
デイサービス事業は、離職率が高く、退職理由はやはり、給与面の処遇があげられます。処遇改善手当を利用しながら使命感、経営理念により良い社風をつくる。
これは、短期ではできないものですがICTの活用、業務の見直しをしながら残業しない
取組もしていきましょう。
近い未来、社員、パートさんが私たちのデイサービスはとても事業だと思ったとき
利用者さんも増え、事業も未来通りになるこどでしょう。